「パターン認識と機械学習(上)(下)」C.M.ビショップ著
この本の名前も内容も知らないAI技術者がいるか、と聞かれたら、「そんなのもぐりですよ」と言われますよね。日本語訳が出版されたときは、本当に感動したものでした。
この本は、まさに機械学習のバイブル(古い本ですが・・・ww)。したがって、本来、この分野の特許に関わる弁理士は理解しておくべき内容なのですが・・・。おそらく今から読んだところで、まず99.9%の弁理士は何が何やらわからんでしょう。つまり、そういう先生には、機械学習自体の話はできない、ということです。単純に割合だけで算出すると、弁理士が2万人として約20人だけ。そりゃ、この分野の特許出願が日本で少ないことも理解できます。
なぜ、冒頭にこのような話をするかと言うと、我が国の特許制度では、ソフトウエア関連発明を特許にするには、その処理手順をデータ処理とともに開示する必要があるからです。ほとんどの弁理士が機械学習そのものについて理解できない、ということは機械学習自体で特許を取ることのできる弁理士がほとんどいないということを意味しています。
では、AIに関する発明って特許にならないのでしょうか?そんなことはありません。もちろん、学習済エンジンにおける学習方法などは、年々進歩し、新しい発明が生まれています。それだけではなく、例えばAIを用いて学習された学習済エンジンを定義することができれば、学習する方法自体には触れなくても特許が取れるケースも出てくるでしょう。学習方法自体は、旧来からの陳腐化した方法であってもいいわけですから。
ここで考えてほしいのは、知っていてあえて書かないのと、無知で書けないとでは、記載の重み、整合性に雲泥の差があるということです。この分野の発明を一律30万円以下でやります、なんて弁理士に任せたら大変なことになるでしょう(ごろごろしているので注意してください)。
つまり、明細書でいう実施可能性の記載が、理解していない弁理士の記載は薄い、あるいはない、ということ。ある意味、怖いですよね。権利にはなっても、係争に使えない権利。あまりお金を払いたくないですね(笑)。